施術者向けコラム

どうしても患者さんの痛みを訴える部位に意識がいってしまい、体全体を広く診て評価する事を忘れてしまう事があります。

もちろん痛みの改善の為には患部に対症療法的に施術する事も大事ですが、やはり長期的に良い状態を保つ為には体全体を診ていくことが大事だと思います。

実際に当院であった例をあげさせていただくと、腰痛の患者さんが立位で左側屈の動作の時に痛みを訴えていらっしゃいました。しかし、腰方形筋や起立筋、腰椎の椎間関節、などを施術してもあまり痛みは軽減しません。

体全体の評価をすると、この患者さんは左側の股関節の内旋と足首の外反への可動域制限が原因で腰に負荷をかけていました。

体全体を診ないと良くならなかった例の一つでした。

施術家のみなさんはセミナーだったり院内の勉強会だったりで知識や技術を学ぶ機会があると思います。

私も同じく定期的に勉強をしていますが、新しい知識や技術に意識が行き過ぎてしまい、基本をおろそかにしてしまう事があります。

患者さんのベッドに寝ている体勢、自分の施術時の体勢、患者さんの手足などを動かす時の軌道やタイミング、これらの基本がおろそかになっているとどんなに素晴らしい技術でも受けている患者さんは不快に感じて施術効果もあまり期待できません。

そして最近強く感じるのが、患者さんへの声掛けと手の感覚の基本の大切さです。

施術をしながら今何をしているのか、何の為にその場所を施術しているのか等を患者さんに知ってもらう事です。

施術や体の状態を分かっていただく事で患者さんは施術後にお話しするホームケアの大切さや意味を理解しやすくなっていると感じます。

そして手の感覚を繊細にして患者さんの状態を感じ取る事で、視診や動作分析だけでは分らない体のアンバランスを発見できます。

ぜひ基本を大事に。

５月８日(日)に鎌倉にある仏行寺にて、鍼灸師や柔道整復師の方たちを対象にセミナーをさせていただきました。

テーマは「腰痛に対する機能評価」でした。

私は施術時に「評価」と「手の感覚」をとても大切にしています。

今回のセミナーでは視診によるチェックと触診によるからだの左右差や筋肉や関節の動きをチェックし、頭の中で患者さんの状態を総合的にイメージする事を中心に行いました。

そのイメージができれば、どこをどのように施術するかが自然と組み立てる事ができると思います。

みなさんとても熱心に取り組んでいただけました。